松本です。単なる横からちゃちゃ入れモードですが、別に悪意を持っているわけ ではないことを御理解ください。 On Sat, 11 Sep 2004 18:27:29 +0900 koyama <mlac@hintmark.com> wrote:
エンドユーザーは、個人ユーザーであれ、企業で業務に使うユーザーで あれ、Linuxになれていない人を指しています。
このようなユーザーに対し、SuSEを普及してゆくには 簡単な入門書が、何故ないのか? が出発点です。
元出版社勤めだった経験から。単に、そのような書籍を出した場合、利益が出る という根拠が見出せないからでしょう。まぁ、現状での普及率を見れば一目瞭然 ですよね。SUSE 9.1 J が1万パッケージ以上売れている…くらいの数字的裏付 けがないと、商業出版社なら動き辛いものです。今数種類出ているLinux関連の 雑誌についても、雑誌としてみれば価格は若干高めですよね。それは、やはり部 数的にはあまり多く売れるジャンルではないからです。で、CD-ROMを付録につけ るというのは、実用的な意味合いも確かにありますが、その「ちょっと高い」と いう消費者の印象を緩和する一つの手段でもあります。CD-ROMに収録されている コンテンツは、ほぼすべてが「無償で収録、配布可能」なものばかりです。資材 としてのCD-ROMは、せいぜい1部あたり数10円といったところですから、カラー ページを16ページ増やすよりも、原価的には安上がりだったりします。ところが まだまだ消費者には「CD-ROMがついているんだから、多少値段が高くてもしょう がないか…」という感覚がありますので、言い訳が立ち易いのです。
Novell監修で、「やさしいSuSELinux」のような書籍が、発売される と期待していたものですから.....
かといって、Novellが採算度外視でそのような書籍を出すかというと、正直望み 薄だろうと思います。というのは、たとえば書籍は赤字だったとしても、その効 果で製品がたくさん売れればトータルで儲けにつながる…という図式は成り立つ とは思いますが、現状ではNovellにとっての「商品(利益が見込める…という意 味)」はあくまでSLESであり、そのためであればある程度の予算も割けるでしょ うが、ただでさえ(…おそらく)赤字であろうSuSE Linuxのために余計な出費はし ないだろう、という読みです。管理者向けの、SLESに特化した、Sunが出してい るSolarisの管理者マニュアルのような書籍であればまだ可能性はあるような気 はしますが…。 今後、SuSE Linuxの出荷数が無視できないほど増えていく傾向なり予測なりが見 えてくれば初心者向けの書籍なども出てくることになるとは思いますが、その時 はその時でSuSE Linuxそのものが「商品」として位置付けされていくということ でもありますから、開発陣などに課せられる要求なども変化していくのではない でしょうか。現状では良かれ悪しかれSuSE Linuxに求められているのは売上では なく、SLESのための人柱的実験環境でしょう。どんなパッケージを組み込んでい くかは開発陣の個人的判断に委ねられている感じですが(…だから、たとえばこ んなパッケージを採用して欲しい、というリクエストをMikeなり岩井さんなりに 直接投げかけても、納得のいく根拠さえあればかなりの確率で採用してもらえる 可能性があったりする)、そういういい意味でのゆるゆる感もなくなっていきそ うな気がします。…どちらの方がいいのかは、個人的な好き嫌いもあると思いま すが…。
私個人としては、SuSEの日本語環境版が、今後も安定供給されていれば、 とても安心です。今後、もっとSuSEが普及してくれる事を望んでいます。
これまで(Novellの傘下に入る以前)のSuSEにおける日本語環境の整備については ベースに各コミュニティの成果があり、それをMikeや岩井さんが組み込んでいく、 という流れだったと理解しています。以前Mikeに聞いた話では、当時上層部には 日本をマーケットとしてとらえるという意識はあまりなく、業務として明確に日 本語廻りを整えるように指示されていたわけではないようです。だもんで、会社 にいる間は他の業務に時間を割き、家に帰ってからプライベートな時間を使って (睡眠時間を削って?)日本語環境を整備していくという作業に取り組んでいたそ うです。言ってみれば、ほとんどボランティア的な貢献に支えられてきたわけで す。…Mikeの署名にある「睡眠不足はいい仕事の敵だ」というセリフは、彼の自 身に対する戒めであろうと私は理解しています。 そんな土壌があったので、商用ディストリビューションでありながら、SuSE(の 日本語環境廻り開発)はどこかコミュニティ的であり、そんな雰囲気が私は個人 的に好きだったりします。今後Novellが明確に日本をマーケットとしてとらえて いこうとするようでしたら、日本語環境廻りの整備は企業としての取り組みとな っていくでしょう。おそらく大多数のユーザーにとってはそんなことはどうでも 良く、純粋に使い勝手が良くなっていけばそれに越したことはないでしょうから 概ねいい方向に進んでいってくれるものと期待はしています。ただ、その結果と して「開発者の顔が見えない」ディストリビューションになってしまったら、そ れはそれで淋しくなってしまうような…。 -- □●□ _/_/_/ To be Happy! _/_/ □□● _/_/ Satoru Matsumoto _/_/ ●●● _/ helios_reds@gmx.net _/